日鉄鉱業株式会社

環境保全活動の推進

環境負荷低減に貢献する長距離ベルトコンベア

鳥形山鉱業所では、鉱山で採掘した石灰石を全長23.3km、計9基の長距離ベルトコンベアにより海岸選鉱場へ輸送しています。トラック輸送ではなくベルトコンベア輸送とすることで、輸送におけるCO2排出量削減に貢献しているほか、環境負荷を抑えた輸送を可能にしています。
また、9基のベルトコンベアのうち3基は急傾斜の下りコンベアとなっており、運搬する石灰石の位置エネルギーで発電効果を得ており、その量は残り6基分相当となっています。
他にも、鉱石運搬による粉じん飛散の防止及び騒音防止のため、地表に出ている部分をすべて防音構造のギャラリーで囲うとともに、毎日の巡視や定期的な測定及び評価を行っています。

水リスクへの対応

当社グループでは、主に資源事業における選鉱過程で水を使用しています。水資源は当社グループの事業継続に必要不可欠な資源であると同時に、事業を展開する地域の住民にとっても大切な資源です。そのため、環境方針に水資源の効率的な利用及び循環利用による使用量の削減に取り組み、水質保全に努めることを掲げ、対応に取り組んでいます。
また、当社グループは、生産拠点・研究所における水リスクの状況を把握するためにWRI(世界資源研究所)が開発したAqueductを用いて、水リスクのある地域の特定を行っており、特に銅鉱山の開発・操業を行っているチリ共和国は水リスクの高い地域と認識しています。今後はより詳細なリスク分析を行うとともに、水資源の効率的な利用のため取水源別の水量の把握等に取り組みます。

水の循環利用

当社グループでは、主に資源事業において利用した水の循環利用を行うことで取水量及び排水量の削減に努めています。採掘した銅鉱石の品位を高める選鉱過程や、石灰石の一部生産品の洗浄などで水を使用しており、使用後の固形物混じりの排水は、排水処理設備を利用して処理し、循環利用しています。

国内石灰石鉱山における水循環利用の例

テーリングダムの管理

チリ国アタカマ鉱山では、銅精鉱の生産を行っています。テーリングダム(尾鉱堆積場)では、生産プロセスで出る尾鉱(鉱石から精鉱を取り除いた残り)を水分と固形分に分離し、その固形分を堆積させています。2003年の操業開始から2020年までは、分級した尾鉱の粗粒分を築堤材として利用し、内側に細粒分を沈降堆積する方式で稼働していました。2020年には、テーリングダム近傍に新たに尾鉱処理設備を設け、旧方式よりさらに脱水してから堆積する方式での運用を開始しています。脱水過程で回収した水は再利用しており、生産プロセスで必要とする水の約80%を再利用水でまかなうことで取水量を削減しています。また、脱水後の新しい堆積物は旧堆積物の下流側に位置しているため、堆積が進むに連れて旧テーリングダムの構造を補強する効果も有しています。
テーリングダムの管理については、粉じんを防止するための日常的な散水や通常の点検に加えて、貯鉱容量及び状態を把握するために定期的に測量を行っているほか、下流側への水の漏洩を確認するための観測井を設置し、水の流出をチェックするとともに定期的な水質検査も実施しています。

鉱山跡地の緑化や公鉱害防止

鉱山の開発は、採掘エリア内の樹木の伐採など、環境に手を加えることが必要になります。開発から閉山まで数十年を要することとなりますが、採掘が終了したエリアや集積が完了した堆積場について緑化を行い、環境や景観の回復を図ります。また、全国各地にある休廃止鉱山の公鉱害防止のため、定期的な巡視や点検を行い、必要な維持保全工事を行っています。

緑化実績(連結)

  単位 2020年度 2021年度 2022年度
植栽・植樹 4,058 5,545 10,061
種子吹付 m2 55,064 45,820 47,667

社有林の森林認証取得

当社グループは、CSRの一環として鉱山採掘跡地及び遊休地への植栽を行っています。生物多様性の保全や水源の涵養、CO2吸収による地球温暖化防止など、森林の持つ多様な機能を維持しつつ持続可能な森林経営を行ってきました。このうち、北海道の白老社有林(面積約1,200ha)を対象に、より一層の森林機能の保全と森林資源の持続的な活用を図るため2013年12月、SGEC森林認証を取得しました。2023年12月には更新審査により再認可を得て、健全な森林育成に継続して取り組んでいます。

環境マネジメントシステムの維持

当社グループでは、採掘範囲を含む鉱山として日本で最初に認証を取得した鳥形山鉱業所をはじめとして、7拠点でISO14001規格の認証を取得しています。継続してシステムを維持することにより、拠点ごとにトップから関係会社の従業員まで一体となり、環境負荷の低減や公鉱害防止に取り組んでいます。

ISO14001規格の認証取得拠点

  • 日鉄鉱業(株)鳥形山鉱業所
  • 日鉄鉱業(株)尻屋鉱業所
  • 日鉄鉱業(株)井倉鉱業所
  • 日鉄鉱業(株)東鹿越鉱業所
  • 日鉄鉱業(株)大分事業所(津久見石灰石(株)、津久見共同採掘(株)を含む)
  • 日鉄鉱業(株)栃木事業所(葛生石灰砕石(株)を含む)
  • 日本ボールバルブ(株)
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