日鉄鉱業株式会社

TCFD提言に基づく開示

TCFDへの賛同

Task Force on Climate-related Financial Disclosures

当社グループでは、気候変動への対応は重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、2022年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。脱炭素社会の実現へ向けた取り組みを推進し、持続的な事業活動と中長期的な企業価値の向上を目指しています。

ガバナンス

取締役社長を委員長、社内取締役と執行役員を委員とするサステナビリティ委員会において、当社グループの気候変動をはじめとしたサステナビリティに関する方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議を行い、定期的に取締役会に報告や提言を行っています。サステナビリティ委員会は年2回の定例開催(5月と11月)と必要に応じて臨時委員会を開催しています。

戦略

気候変動が当社グループの各事業に与える影響について、2℃以下及び4℃シナリオを想定し網羅的に「リスク」と「機会」を抽出しており、リスク低減、機会獲得に向けた関連する取り組みを進めています。なお、今後はシナリオ分析を進め、事業に対する影響を把握し、戦略を策定していきます。

種類 項目 区分 リスクと機会 関連した取り組み
移行リスク 政策・法規制 炭素価格の上昇 リスク
  • 炭素に関わる新税の導入によるコスト増
  • 情報収集の継続
規制の強化 リスク
  • 生産事業所の電化、省エネ化に伴うコスト増
  • 大型重機等の動力源や燃料変更に伴うコスト増
  • ICP制度導入によるCO2排出量削減に必要な電化、省エネ化等の推進
技術 新技術の開発 リスク
  • 代替素材や代替技術開発による石灰石の需要減
  • 石灰石の海外輸出推進
機会
  • GHG排出量低下に寄与する製品開発による収益拡大
  • GHG排出削減に寄与する研究開発の推進
再エネ・省エネ技術の普及 リスク
  • 再生可能エネルギー購入によるエネルギー調達コスト増
  • 自家消費用再エネ発電設備導入による購入電力削減
  • FIT非化石証書の直接調達による電源再エネ化費用低減
機会
  • 地熱発電や太陽光発電などの新規開発可能性の拡大
  • 白水越地熱開発の推進
市場 商品・素材価格の変動 リスク
  • 脱炭素化に伴う原材料調達コスト増
  • 鉱山開発案件の獲得競争激化による投資コスト増
  • 資源ナショナリズム台頭による規制や課税の強化
  • 自社探鉱による案件発掘
  • 開発初期段階からのプロジェクト参入
機会
  • 電化需要の高まりによる銅の需要増
  • 銅鉱山の採算性向上による経済的可採鉱量の増加
  • アルケロス銅鉱山の開発工事着手とその他の案件発掘推進
評判 顧客の行動変化 リスク
  • GHG低排出製品への需要対応に伴うコスト増
  • 自家消費用再エネ発電設備導入による購入電力削減
  • FIT非化石証書の直接調達による電源再エネ化費用低減
機会
  • 顧客のGHG排出量削減に寄与する製品の需要増
  • ポリテツの供給体制強化
物理的リスク 急性的 気象災害の激甚化(台風、洪水等) リスク
  • 生産事業所の災害対策及び被害復旧に伴うコスト増
  • サプライチェーン寸断による販売減
  • 石灰石鉱山の拠点分散による安定供給体制継続
機会
  • 防災インフラ整備等に伴う石灰石の需要増
  • 災害時に複数拠点分散の強みを活かした生産・出荷が可能
  • 石灰石鉱山の拠点分散による安定供給体制継続
慢性的 平均気温上昇 リスク
  • 海面上昇に伴う臨海拠点の水害リスク
  • 渇水リスク増加に伴う操業への影響
  • 従業員の労働衛生面での悪影響による生産性の低下
  • 水循環利用の推進、継続
機会
  • 水質悪化(栄養塩類、赤潮)や再生水利用の増加に伴う水処理剤の需要増
  • 作業環境見直しの推進による生産性の向上
  • ポリテツの供給体制強化

リスク管理

サステナビリティ委員会で抽出した気候関連のリスクと機会について、対応の検討とその後のモニタリングを通じて、評価と再検討を行い、重要なリスクについては定期的に取締役会に報告を行っています。また、カーボンニュートラルに関する取り組みについてもCO2排出削減計画を検討し、実行状況の管理と必要な対応を行っています。

指標と目標

当社グループは、気候変動に対する取り組みとして、設備の効率化・省エネ化等による燃料や電気使用量の削減、自家消費用の再生可能エネルギー発電設備の導入や再エネ電力への切り替えなどの対応を段階的に実行に移すことでCO2排出量の削減に努めます。具体的な目標として、日本国内におけるグループ会社の直接排出量(Scope1)と他社から購入する電気等のエネルギー使用に伴う間接排出量(Scope2)を合わせた国内CO2総排出量のうち、化石燃料や電気の消費に伴うエネルギー起源のCO2排出量について、2030年度までに日本政府のCO2排出区分別の目標※1である2013年度比38%以上の削減※2を目指します。なお、生石灰製造に伴い発生するプロセス由来の非エネルギー起源CO2については、今後の技術動向を注視し、CCUS等の新技術が社会実装可能となった際に導入を推進することで、より一層のCO2排出削減に取り組みます。
また、長期目標として2050年度における当社グループの非エネルギー起源CO2も含めた直接、間接排出量(Scope1+Scope2)について、新技術の導入やカーボンオフセット等の対策も取り入れ、カーボンニュートラルの実現を目指します。

  1. ※1 2030年度までの日本政府のCO2排出区分別の目標
    地球温暖化対策計画における「地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画」(2021年10月22日閣議決定)において示されたCO2排出区分ごとの削減率
  2. ※2 2013年度比38%以上の削減
    ※1の排出区分のうち「産業部門」である工場、事業所で消費する燃料や電力由来のCO2の削減率
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