技術情報

溶液の電気分解による金属回収技術

廃液・排水中に含まれる金属イオンを電気により回収し資源化できます


廃液・排水中に含まれる銅等の金属を電気分解により回収する技術です。

特長

クリーンな電気を使い産業廃棄物となる廃液・排水から金属を回収し資源化ができます。残った酸も再使用が可能です。

概要

日鉄鉱業では、昭和40年代より「銅鉱石の湿式処理」に関する基礎的な研究を行い、銅電解に関する種々の知見を得ていました。

約20年前より、当時成長の著しかった電子回路製造業の工程から排出される銅を含んだ廃液を対象として、その技術を応用することを試み金属回収技術を完成させました。

小学校の理科で金属の板と硫酸を使って電気を作って豆電球を光らせる実験をしたことがあると思います。これは金属の板が硫酸に溶けるときに電気が発生するからです。

電気分解(電解)とは電気を発生させるのとは逆に、電気を使って硫酸の中に溶けた金属を金属の板と硫酸に分けることをいいます。

日鉄鉱業ではこのような技術を使って電子回路製造業(家電製品、携帯電話等)の廃液だけではなく、水の中に溶けている重金属や汚染物質の除去に取り組んでいます。そしてこれらの技術は自然環境の保全に役立つ可能性があります。

原理

金属イオンが溶解している廃液中に、陽極と陰極を入れてそれぞれ電線を接続し電気を流します。

すると陽極では廃液中の陰イオン(例:硫酸イオン、塩化物イオン等)が集まり電子を放出(酸化)し、陰極では廃液中の陽イオン(例:銅イオン、鉄イオン等)が集まり電子を受取(還元)ります。

一方、陽極では電子を放出した陰イオンはガス(例:酸素、塩素等)となり、陰極では電子を受取った陽イオンは金属(例:銅、鉄等)となります。

このような現象から陽極では廃液中の酸を回収することができ、陰極では廃液中の金属を回収できます。その他の水に溶解した金属、酸・アルカリ、汚染物質等についても応用できます。

適用分野・用途
基板製造、銅コイル製造、銅管・銅線製造

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