技術情報

鉄系無機凝集剤、【ポリテツ】に関する技術

数多くの機能を持つ鉄系凝集剤

凝集剤としてだけでなく、リン除去、COD及びBODの除去、重金属類の除去、硫化水素の発生抑制など排水処理における様々なニーズに応える鉄系の水処理剤に関する技術です。

ポリテツ

概要

日鉄鉱業が製造販売している鉄系無機凝集剤ポリテツという商品は、当社が銅鉱石中から鉄イオンを触媒としてビスマスという元素を回収するプロセスを開発していた当時、劣化した(還元された)鉄イオンを酸化して再利用する技術を検討する過程で偶然発明されました。

この技術が確立された昭和40年代、廃硫酸から硫酸を回収した際に副生される硫酸第一鉄という物質が海に大量に投棄され、海洋汚染の原因となっていました。このような時代背景のもと、当社では水処理に用いられるポリテツの主原料に硫酸第一鉄を用いることで、製造及び使用のどちらにおいても環境への負荷を減らすという商品の開発に成功しました。

鉄系凝集剤は一般に腐食性が高いと認識されており敬遠されがちですが、それは塩化第二鉄の場合の話です。ポリテツは塩化第二鉄と比べて腐食性がはるかに少ないため(下表参照)、排水処理設備を痛めにくいのです。また、塩素を含まないため下水汚泥ケーキのコンポスト化等の再資源化に有効です。また、汚泥を焼却してもダイオキシン発生の原因になりません。

腐食試験結果
材質 ポリ硫酸第二鉄
(30℃×100h)
塩化第二鉄
(30℃×30h)
sus304 0.0(g/m2/h) 99.4(g/m2/h)
sus316 0.0(g/m2/h) 72.5(g/m2/h)

下水汚泥の処理施設では、硫化水素やメチルメルカプタンなどの硫黄化合物系臭気が多く発生します。Fe2+やFe3+イオンはこれらの物質と反応しやすく、脱臭剤としての働きを兼ね備えています。また、硫化水素による金属やコンクリートの腐食を抑制します。

硫黄化合物との反応式

富栄養化の原因のひとつであるリンに対して鉄系やアルミニウム系凝集剤を添加して除去する技術は一般的な技術として知られています。ポリテツも強力なリン除去効果を持っており、放流水へのリンの流出を抑制します。

リンとの反応式

ポリ硫酸第二鉄の性状
外観 赤褐色の液体
比重(20℃) 1.45以上
pH(1w/v%) 2以上
全鉄(T-Fe) 11.0%以上
第一鉄(Fe(U)) 0.07%以下
硫酸イオン(SO42- 24〜29%
塩素イオン(Cl- 0.05%以下
凍結性(℃) -12℃±1℃

構造

主成分:塩基性硫酸第二鉄(一般名 ポリ硫酸第二鉄)

適用分野・用途
下水、し尿、化学、紙パルプ、食品、ゴミ
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