工作/高橋孝佑

でっかいほうが、かっこええやん。

工作係の仕事場は山の地中にあります。切羽で採掘した石の塊を、立坑と呼ばれる穴から地下プラントに落とし、破砕機を使い、細かく砕いています。砕いて、ふるいにかける工程を、機械をつかって2度行う。80㎜ほどのサイズになった石は、23㎞もあるベルトコンベアに乗せて海岸プラントへと運びます。山から海へとつながる、中間拠点としての役割をもつ地下プラント。工作係は、生産ラインが止まらないよう、機械のメンテナンスを日々行っています。

機械のメンテナンスは、意外に人間の感覚に頼るところが大きいんです。もちろん、自動で機械の異変を察知する装置もありますが、微妙な変化には気づけないこともあります。たとえば、パーツの位置が少しずれているとか、異音が混ざっているとか、機械の温度がいつもより熱いとか。そういった些細な違いは、目で見て、耳で聞いて、実際に触ってみるのが一番です。先日は、インペラ―クラッシャーという破砕機のパーツを交換しました。その重さはなんと11t。大きな機械ですから、地下プラントの中で機械を一度分解し、新しい部品と取り替えなくてはいけません。パーツの仕様も、改善点を聞いて特注で設計したものです。一つひとつの規模がでかい分、やり切った後の達成感もひとしおですね。

じつは大学では医療に関する流動力学を学んでいたんです。動脈硬化や血管障害のための、血の流れを促す装置の研究をしたり。なんで日鉄鉱業を選んだのかって? だってでっかい機械の方がかっこいいじゃないですか。嘘じゃないですよ。スケールの大きな仕事の魅力を、今、身をもって感じていますから。